メディアの閲覧制限は逆効果?|シンプル化で会員獲得が増えた事例

メディア系のサービスでよく見かける鍵がかかっている記事。記事タイトルをクリックして記事詳細ページには遷移で記事を読んでたら途中で「続きは有料会員限定です」って出てくるアレ。結構ウザい…。

最近、あるメディアが閲覧制限を撤廃したという話を聞いた。実際に数値検証したところ、無料会員の閲覧制限は有料会員登録にほぼ貢献してなかったらしい。むしろ、シンプルにした方が効果的だったと。

これって結構示唆に富む話だと思う。

よくあるメディアの会員制度

多くのメディアサービスで見かける仕組みはこんな感じ。

会員属性:未登録 → 無料会員 → 有料会員
記事種別:一般記事、無料会員記事、有料会員記事

これを表にするとこうなる。

未登録無料会員有料会員
一般記事
無料会員記事×
有料会員記事××

さらに複雑なサービスだと「無料会員は有料記事を月3本まで」とか「無料会員記事は月10本まで」なんてルールもある。分かりづらいことこのうえなしだ。

ユーザー目線で考えてみる

読者として体験すると、かなりストレスフルになる。

  • 記事タイトルに惹かれてクリック
  • 読み始めて興味深い内容
  • 途中で「続きは有料会員限定」
  • ガッカリして離脱

これが頻繁にあると、そのメディア自体を避けるようになってもおかしくない。有料会員になるどころか、サイトに来なくなってしまう。

会員属性が3段階もあると、どの記事が読めるかパッと分からない。ユーザーは思ってるほど説明を読んでくれないし、仕様も理解してくれない。

閲覧制限撤廃の効果

ある事例では、無料会員向けの月間閲覧制限を撤廃したところ、意外な結果が出た。

  • 閲覧制限は有料会員登録にほぼ貢献していない
  • むしろユーザビリティを下げていた
  • シンプル化により、全体的な満足度が向上

これはなるほどと思った。そもそも無料で使ってるユーザーは、制限されても「じゃあお金払って読もう」とはならない。別のメディアに行くだけだろうなと。

無料と有料のモチベーションは別物

無料会員登録と有料会員登録のニーズは根本的に違う。

無料会員:情報収集、お試し感覚
有料会員:そのメディアの価値を理解し、継続的に読みたい

無料ユーザーを制限で有料に誘導するより、まずはメディアの価値を感じてもらう方が重要。価値を感じたユーザーが自然と有料会員になる。

シンプル化の重要性

結局、ユーザーは複雑な仕組みを理解してくれない。迷わせずに、悩ませないことが大切。

理想的なのはこんな仕組みかな。

  • 未登録 → 有料会員の2段階のみ
  • 一般記事(無料)と有料記事(有料)の2種類のみ

これなら「有料記事を読みたければ会員登録」というシンプルなメッセージになる。

今日の気づき

複雑な閲覧制限は、ユーザー体験を下げるだけで実際の売上には貢献していない場合が多い。

ビジネス側は「段階的に誘導すれば効果的」と考えがちだが、ユーザーは思ってるより単純。価値を感じれば払うし、感じなければ払わない。

メディア運営では、いかにシンプルで分かりやすい仕組みにするかが肝。複雑さは機会損失を生むだけだ。

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この記事を書いた人

フリーランスのWebディレクターとして活動中。5回の転職を経て気づけばフリーランスで個人事業主になっていた。アラフィフになって物忘れが激しくなってきたこともあり、日々の仕事で思ったことや気づいたことをメモっておこうかなと。

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