シンプルこそ最強!閲覧制限は本当に効果的な戦略なのか。

メモ

  • 会員属性と記事種別を掛け合わせたサービスは複雑化しがち
  • 細かい機能制限はユーザーに理解されない使われない
  • とにもかくにもシンプルであれ!

詳細

メディア系のサービスでよく見かける鍵がかかっている記事。記事タイトルをクリックして記事詳細ページには遷移できるんだけど、本文は途中までしか読めなくなってて、全文読むなら有料会員に登録してねと案内されるやつです。

ビジネス視点では会員登録獲得とかサブスクでの有料会員登録獲得では有効な施策ではある一方で、ユーザー視点からするとけっこうというかかなりウザい機能だったりするよなと。

読みたいなと思ったら有料会員向けでガッカリするのはまあ仕方ないとして、会員向けの記事とは気づかずに読み始めて途中で終わってるときの虚しさたるや…。それなら、最初から読めなくしといてよと。

なんなら、有料会だけが読める記事だけじゃなく、その手前に無料会員だけが読める記事があったりするケースも多々あって。こうなると、会員属性の種別や階段の上りかたがピンとこないのはもちろん、どの記事が読めてどの記事が読めないのかよく分からんし、迷いがち。

例えば、「会員属性」と「記事種別」の掛け合わせで、読める読めないが決まる仕様だったりするので、属性や種別が増えるほどに、この掛け合わせをパッと理解して使いこなすのは、ユーザーからするとなかなかのハードルになります。

例を出すとするとこんな感じ。

  • 会員属性の階段:未登録 →無料会員(要会員登録) →有料会員(要決済登録)
  • 記事種別:一般向け記事(無料)、無料会員向け記事(無料)、有料会員向け記事(有料)

分かりづらいので、表にするとこんな感じ。

未登録無料会員有料会員
一般向け記事
無料会員向け記事×
有料会員向け記事××

よくある表で、無料会員止まりだと無料会員記事までしか読めないですよと。有料会員になればぜんぶまるっと読めますよ。はやく有料会員登録しましょう!という整理。「プレミアム会員」とか言ったりしがちなやつw

これだけでもちょっと複雑なのに、無料会員だと有料会員向けの記事は月XX本までしか読めませんなんてルールのサービスもあったりするのでややこしい。まあまだ無料で有料記事が読めるだけましだけど、サービスによっては無料会員は無料会員向けの記事で月X本までとかもあるので、なかなかの手強さに…。

未登録を含めると会員属性が三段階あるので、これってちょっと複雑過ぎるだろーといつも思ってて。いっそ、未登録と有料会員だけのほうが分かりやすいし、有料会員獲得という目的を達成する意味でもより効果的なのでは?無料会員という階段があることで有料会会員登録のハードルが上がっているのでは?

と、そんな仮説を持っていたところ、あるサービスで無料会員向けの「月X本」という制限を撤廃したという事例が。

そのサービスでも、有料会員登録を目的とした無料会員向けの閲覧制限という機能だったけど、実際に有料会員登録に貢献しているのかを数値で検証したところ、無料会員記事の閲覧制限は有料会員登録にはほぼ貢献してないという結果だったらしく。であれば、閲覧制限を取っ払ってシンプルにしましょうという判断になったんだとか。

なるほど、そもそも有料会員にはならず無料で使ってるユーザーなので、閲覧制限されたとしてもお金を毎月払ってでもそれ以上読みたい!なんなら有料記事も読みたい!というモチベーションは生まれなかった、醸成されなかったってことなんだろうなと。あくまで仮説だけど。

つまり、無料会員登録と有料会員登録のモチベーション(ニーズ・課題感)はまったく別のところにあるってことなんだろうなと。もちろん、他に判断の要因があったとは思うけど、なかなか示唆に富む事例だしいろいろと参考になるなあ。

いずれにしても、結果的に不要な属性や階段、制限を取っ払ってよりシンプルな方向への改善という意味でも興味深い事例だと思うし、なにより、個人的な仮説が立証された気もしてちょっと嬉しいw

ユーザーはビジネス側が思うより説明を読んではくれないし、仕様も理解してくれないんだよあと。ゆえに、どれだけ迷わせないか、むしろ悩ませないかが重要。つまるところ、どんだけシンプルにできるかが肝なんだろうなー。

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この記事を書いた人

フリーランスのWebディレクターとして活動中。5回の転職を経て気づけばフリーランスで個人事業主になっていた。アラフィフになって物忘れが激しくなってきたこともあり、日々の仕事で思ったことや気づいたことをメモっておこうかなと。

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